青い色

私は色盲である。赤緑色盲というやつで、一つ一つの色は認識できるが、赤と緑が重なると区別ができなくなる。

ま、そんなことで、小学校に入学した瞬間から、「異常者」という肩書きを頂き、暗い人生を送ってきた。

高学年になったとき(中学だったのか忘れた・・)、再度詳しい色盲検査をした。そのときもやっぱり他人が読める文字が、色の付いた水玉模様の中からは浮かび上がってこなかったが、そのときの担当の先生が、もう一冊の別の試験用紙を出してくれた。

そうしたら、文字や数字がいっぱい浮かんできて、嬉しくなって答えた。・・ でも、それは見えてはいけない「字」だったようだ。それで、はっきりと「色盲」という刻印が押された。

今だったら、人が見えない字が読めるんだから、トランプや麻雀パイの裏に自分だけが読める暗号を書いて・・などと考えて喜ぶと思うが、そのときは、もう人間ではないと宣告されたような気がして 落ち込んだ・・

 

で、いろいろあって、40歳くらいになって、一つ乗り越えた。

それは、色の区別がつきにくいけれど、逆にモノの明度、つまり細かいトーンが、人よりも感度よく見えている事だと思うことにした。そして、モノクロの写真を撮った。

でも、それは 逃げていることだと気づいた。

で、60歳になった記念に、去年から、また生まれ変わったような気分になって、カラーをやってみることにした。もう、色盲というコトで正常な普通人と区別しようとする「教師」も居ない、還暦という自由を得た私の新しい出発として・・・。

 

赤と緑が並ぶとよくわからない。しかし、青い色は、どんな色でも細かく認識ができる。一度見た青は忘れない。

マツダデミオの青は大好きだが、ホンダのフィットとトヨタのアクアの青は気持ち悪くて目をそむける・・・。

で、いろいろ水の写真を撮っているのだが、やはりモニターでは細かい色の違いが表現できない。それで、高性能のプリンターと高い顔料のインクを使って、少しずつ自分でプリントしている。

気に入ったプリントができることもある。その中に浮き出ている「青」の細かいトーンの違い、深さと淡さと、透明感と濁り具合と、コクとキレ。それらを見ているのが嬉しい。

そして、その色の違いに気づく「正常な普通の人」はきっと居ないだろうなぁと思うと、ちょっと寂しいが、逆に、子供の頃の復讐のような気持ちで、「この色がわからない普通の人たちは、可愛そうだなぁ」って思いながら、水の写真を見て、毎日を過ごしている。

f:id:tonkatsu99:20160208212636j:plain